ご相談が増えている内容を取り上げます。
1 建設業法第17条の2(事業承継)の法律の考え方
2 個人事業主が事業承継するメリット
3 〃 デメリット
4 個人事業主が事業承継しないメリット
5 〃 デメリット
デメリットを解消する方法
個人事業主が、株式会社等(以下、法人)を設立して許可を引継ぎ(事業承継)をしたいとのご相談は以前からございましたが、最近は特に増えてきています。これは、法改正により引継ぎが可能になったために起こっているものと考えられます。
そこで、法の解説も含めメリットデメリットを案内します。
※法人成りとは、個人事業主が株式会社等を設立して組織を変更すること
建設業法第17条の2(事業承継)の法律の考え方
まず事業承継は、建設業許可を持っている会社をM&Aなどで事業承継した会社が許可を引き継ぐことを前提に法律は作られています。よって、個人事業主の法人成りも同様の考え方になりますので、税務上おかしいのではないかと言われるようなことも起こります。
2 個人事業主が事業承継するメリット
個人事業主が法人になるときに事業承継手続きを行うと、建設業許可は、途切れることなく継続している状態になり500万円以上の工事を受注できないなどの不都合が無くなります。また、入札などを行っている場合には、許可番号の引継ぎができることから、経審のw点(建設業の継続年数)を引き継ぐなどのメリットもございます。上記の理由により、事業を安定的に継続することができます。
3 個人事業主が事業承継するデメリット
冒頭の説明のように法人が法人を買収して事業承継を行う場合、両方の法人は社会保険に加入しています。(健康保険法)
よって、法人成りで事業承継を行う場合、事業を開始していないのに社会保険に加入しなければいけない状況になります。そのため、事業を開始していない法人に経営の管理責任者・専任技術者の給与または役員報酬と社会保険料が発生することになります。
4 個人事業主が事業承継しないメリット
3に記載の社会保険料などの問題は発生しませんので、法人の費用負担は少なくて済むことになります。
5 個人事業主が事業承継しないデメリット
法人化する時に、個人事業としての建設業許可の廃業届を行い、法人を設立後に建設業許可を改めて取得することになります。そのため、法人化を行い許可が取れるまでの期間(福岡県では約2か月)は500万円以上の工事を受注することができなくなります。また、経審を受審している場合にはw点(建設業の継続年数)が0年からスタートすることになりますので、公共工事を主にしている会社にとっては痛手になるでしょう。
上記1から5の内容を踏まえて、法人化する際に、どのように許可の引継ぎを行うのか十分に検討してから対応する必要があります。
デメリットを無くす方法
基本的にはございませんが、このようにすれば無くす可能性はあることもございます。
そのお話は、業務を受任後にご説明させていただければと存じます。
個人事業主の法人成りで、どうにかうまくできる方法はないかとお悩みの事業者様は、是非、当事務所にご依頼ください。